今回は、現在持っているビザの有効期限が残っている間に転職をした場合の手続きに関して
記載していきます。
1 ビザ(在留資格)の変更は必要か
直ちにビザの変更が必要か否かは、職務内容によって異なります。
例えば、現在会社で通訳・翻訳の職務内容で働いていて「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得している場合に、
転職して外国料理の調理師になる場合、調理師とし必要なビザは「技能」であるため、ビザの変更が必要になるでしょう。
では、A会社で通訳・翻訳の業務を行っていて、転職後B会社でも通訳・翻訳の業務を行う場合はどうでしょうか。
両方とも「国際業務」というビザの種類です。
同じような職務内容の場合は現在取得しているビザのままで問題ないのでしょうか。
2 ビザの性質
ここでビザの性質を考えてみます。
外国人が就労ビザを取得して日本に在留する場合、あくまでも現在勤務している会社での仕事内容に対して限定的に就労する資格(ビザ)が
与えられています。
したがって、勤務先の会社が変わる場合、職務内容も変わると考えられ、また一から就労ビザの資格該当性が審査されることになります。
ですので、A会社で通訳・翻訳の業務を行っていて、転職後B会社でも通訳・翻訳の業務を行う場合でも現在「国際業務」のビザを取得
しているから安心して働ける、というわけではないのです。
3 就労資格証明書
では結局、転職の度にビザの変更が必要なのかというとそういう場合ばかりではありません。
就労資格証明書の交付申請という制度を活用することもできます。
就労資格証明書とは、日本に在留する外国人からの申請に基づいて、その者が行うことができる就労活動を法務大臣が証明する文書です。
この証明書が発行された場合、現在取得している就労ビザで、転職後の会社でも継続して働くことができるといういわばお墨付きをもらった
という意味があります。
この制度を活用すれば、外国人本人にとっても、雇用する企業側にとっても双方にメリットがあり、安心して雇用契約を結ぶことができます。
以下に就労資格証明書交付申請の概要を記載いたします。
【就労資格証明書交付申請の概要】
申請先:住居地を管轄の入国管理局
手数料:900円
標準処理期間:勤務先を変えた場合は1~3ヵ月後
必要書類:・申請書
・パスポート・在留カード
・その他必要な書面
必要書類に関しては、法務省の案内ページに記載されているのは上記のようなものだけですが、実際にはこれらの他に
たくさんの書面を提出する場合が多いです。
転職先の会社に関する資料、実際の職務内容に関する疎明資料、就業場所に関する資料などを、具体的な事情により提出する必要があるでしょう。
転職をする場合には、外国人本人も雇用される企業様においても現在持っているビザで就労することができるのかをしっかり確認し、必要な手続を
行うようにしていただければと思います。